子どもの心に本当に火をつけられるかどうか。
ヴァンフォーレ甲府スポーツクラブ
代表取締役社長 佐久間 悟氏
■ヴァンフォーレ甲府のあり方。
ヴァンフォーレ甲府のアカデミーは、子供たちが成長する過程の中において、サッカーという一つの競技(種別)を通じて、人格形成等に寄与したい。ということがクラブの基本的な考え方です。
簡単に言うと将来、ヴァンフォーレ甲府のプロ選手を目指したいという子供たちがセレクションを経て入団して、その後は日々、競い合いながら最終的にはプロ選手としての契約を勝ち取れるか否かという夢に挑戦する場所となります。
しかし、他方では、地域愛の醸成や仲間との友情と連帯等を含める人間教育については、学校と家庭更には、クラブにおける三位一体の連携を深めつつ行っています。
将来的には、我々のアカデミーという組織が地域づくり等において、何らかの役割を担う存在になればと期待しています。その為にもアカデミーの活動は、愚直にコツコツとたゆまない努力だと考えています。
■「生涯スポーツ」「社会体育」という役割を目指して。
ヴァンフォーレ甲府アカデミーに入団する選手たちの主だった動機は、「プロ選手を目指して」ということになります。しかし、クラブとして最も大切にしたい動機は、サッカーそのものが好きであり、また、ヴァンフォーレ甲府というクラブを誇り感じてくれる選手たちであることが求められます。そして、生涯を通じてサッカーを楽しむ集団に発展させる必要があるとも考えています。
近年におけるヴァンフォーレ甲府アカデミーに入団した選手たちは、卒団後もサッカーを続ける選手たちが多く、高校に行っても大学に行っても社会人になっても続ける選手たちが増えています。クラブの歴史は、まだ浅いですが関わる方々が「生涯スポーツ」として、サッカーを楽しみ、高齢者になってもサッカーを続けるという人たちが山梨県に増えて欲しいと願っており、クラブとしては、「社会体育を実現する」という役割を大きく担っていると考えます。
■子どもたちが持っている、その子の心に火をつける。
アカデミーの子どもに対しては、教えたり、学ばせたり、場所を提供したりということが重要です。しかし、アカデミーで最も重要なことは、指導者が教育者として、「その子の持っている心に火をつけられるかどうか」であると思っています。つまり、本人が持つ「本気度」に働きかけるものであり「生き抜く」とか「頑張る」ということに繋がります。私は、子供たちだけではなくフロントスタッフでも地域の方々でも同様であると思っています。
人生は何事においても波乱に満ちています。常に危機感を持ちながら生き抜いて行かなければなりません。例え、今がどん底であったとしても、そこから抜け出して行くという勇気を持たなければなりません。
また、抜け出せたとしてもその場に留まらず前進すること。決して満足してはなりません。そして抜け出した後で勇気をもって振り返り、どん底には戻ってはいけないということを再確認する必要があります。そして、成長する自分に期待すること。つまり、常に自らの成長を求めるということが同時に努力するエネルギーにつながると思います。
考えてみると、現在のヴァンフォーレ甲府は、フロントスタッフとTOPチームやアカデミースタッフを含めて、その様な精神構造の集団だと言えます。また、応援し続けて頂いているサポーティングスタッフや声を出し応援してくれるゴール裏のサポーター、ファン、スポンサーの皆さんも同様だと感じます。
ヴァンフォーレ甲府は、存続も危ぶまれるような過去がありました。私は、あの苦しんだ過去を否定するのではなく、寧ろ後進に伝えていくことが使命だと考えています。逆に一方では輝ける未来、希望に向かって挑戦するということ。それも私の役目だと思っています。人生は、常に成功と失敗、栄光と挫折、光と影の表裏一体です。分かっていることではありますが、深く理解して生きることの大切さを私はクラブから発信することが重要だと考えています。
明るく、楽しく、元気よく!